パッケージが繊細な気持ちを伝える~「包む―日本の伝統パッケージ展」~
週末は、都内で桜が満開となりましたが、みなさんお花見にはいきましたか?都内でも有数の桜の名所、目黒川の桜並木。その川沿いから少し入ったところに目黒区美術館があります。
今日は、この目黒美術館で開催されている「包む―日本の伝統パッケージ展」を紹介します。様々な素材を使った日本の伝統的な「包み」が展示されていたのですが、その「パッケージ」から日本の伝統的な生活や考え方、日本の自然に想いを馳せるちょっとした時間をもらった展示会でした。
伝統的なパッケージって?
「パッケージ」といえば、お菓子のパッケージなど商品のイメージを伝えるために、マーケティングの考えからも重要なもの。。。連想される言葉として「ラッピング」が浮かびます。最近は、バレンタインのシーズンになると、手作りチョコのラッピングコーナーの前で女の子が真剣に選んだり、、なんていう光景もよく見かけますよね。「パッケージ」からこんなイメージが湧きましたが、では、伝統的なパッケージってどんなものか想像がつきますか?
私はポスターを見て、一気に興味が惹かれました。そのポスターに載っていた写真が、こちら。卵が藁に包まれてる???そもそも初めは卵だとわかりませんでしたが、、、。これは、何か新しい発見がありそうだ!と思い、お散歩ついでに展示を見てみることにしました。
伝統的な生活や包みの中身を想像するおもしろさ
展示品は、パッケージの素材ごとにブースが分かれて展示されていました。伝統的な素材とは、「木」・「竹」・「笹」・「土」・「藁」・「紙」などです。
今では、なかなか身近とは言えなくなった「藁」や「竹」なども、昔はいつでも手に入る素材だったのでしょう。特に「藁」は、食品の保存や生活の道具など、伝統的な生活には欠かせない素材だったようです。卵が藁に包まれていたのも、身近な素材で効率よく運んだり保存したりするために考えられた包み方なのではないでしょうか。
それぞれ同じ素材でも、包むものによって全く使われ方が違い、一番適した形での包み方であると感じました。例えば、伝統的な和菓子。一つひとつ紙に包まれた小さなお菓子や、高級な木の箱に入ったお菓子、また、手頃な感じのする笹で包まれたお菓子など、包まれる物の性質や高級さによって、包まれ方も全く異なり、パッケージの印象も様々でした。この包みの中には何が入っているんだろうと想像するのも、また、一つの楽しみ方でした。
素材や包まれる物だけでなく、興味を惹かれた項目は、「地域」です。日本の伝統的な習慣に詳しくないので分かりませんでしたが、似たような包み方・パッケージでも地域によって異なったり、他にはない独特なパッケージだったりします。それは、地域による素材や包まれる物によって違いが生まれているのかもしれません。
気持ちも一緒に包む日本人の心
展示を観終わって、考えたことは展示会の名前でもある「包む」ということ。普段の生活では「包む」ことを意識することは少ない気がします。しかし、この展示を観ていて強く印象に残ったことは、「日本人の包むことに対する繊細さ」。「包む」ということは、誰かにあげたり、長く保存するための行為であり、さらにその先には「包みを開く」という人がいます。そんな「包みを開く人」の事を思いながら心を込めて、「包んでいる」。「日本の伝統パッケージ」からそんな印象が感じられました。
この次にちょっとしたプレゼントを渡すときには、パッケージにもこだわって、物と一緒に気持ちを届けてみたくなる、そんな展示会でした。
【展示会の詳細】
会期:2011年2月10日(木)~2011年5月22日(日)
時間:10:00~17:00
*4月30日(土)までの開館時間。5月以降の開館時間については決定次第、お知らせします。皆様のご理解とご協力をお願いいたします。
休館日:月曜日 *ただし、5月2日は開館
観覧料:一 般 700円
大高生・65歳以上 550円
小中生 無料
アクセス:目黒駅から徒歩10分。西口を出て、商店街の坂(権之助坂)を下って行くと目黒川に出ます。橋を渡ってから右に入り、公園や目黒区民センターのある一画の一番奥に美術館があります。
詳細は目黒区美術館HPへ。
http://mmat.jp/exhibition/archives/ex110210-2