第3回恵比寿映像祭に行ってみた【東京都写真美術館】
最近アートがアツいですね。
都内では六本木の国立新美術館でシュルレアリスム展、上野の国立西洋美術館ではレンブラント展がもうすぐ開始予定と、興味深い美術展が目白押しです。
さて、普段は美術と無縁な生活を送っているわたしですが、
先日恵比寿の東京都写真美術館で開催されている第3回恵比寿映像祭~デイドリームビリーバー!!~
終了1日前に滑りこんできました!
※残念ながら今年の恵比寿映像祭は2/27(日)をもって終了しました。
恵比寿映像祭って?
まずは恵比寿映像祭のご紹介から。
年に一度、十日間にわたって東京都写真美術館全館を使って展示、上映、ライブイベント、トークセッション、講演などを複合的に行う、まさに映像美術のお祭りと呼ぶにふさわしい祭典です。
―恵比寿映像祭では、映像という言葉を限定的に用いるのではなく、映像をめぐる様々な選択肢に目をむけ、可能性を拓いて行くことを企図します。さまざまな映像をむりやりに分類整理し序列をつけるのではなく、一見対極的に見えるものどうしをならべてみたり、目をこらさないと見過ごしてしまうような微細な肌理(きめ)に着目することで、映像の楽しみや味わい方の回路をより豊かにしていきたいと願います。
http://www.yebizo.com/jp/information/info_index.html
なるほど、とにかく映像に関係があればなんでもいいってことらしい。
また、映像祭開催期間以外も恵比寿映像祭HP内で、国内外大小を問わず他の映像関連イベントや活動を相互リンクして助成しているそう。
関連団体リンクのページから様々な団体の情報を見ることができるので、映像に興味がある方はぜひ閲覧することをおすすめします。
2011恵比寿映像祭~デイドリームビリーバー!!~に行ってみた
第三回のテーマは『デイドリームビリーバー!!』
映像をデイドリーム=白昼夢に例えるという発想からして面白そうな企画。
多くの素敵な作品があったのですが、その中でも美術に関してど素人なわたしの独断と偏見でチョイスした、作品・アーティストをご紹介します。
展示は3階→2階→地下の順で行われていたので、その順にレポートします。
【3階】
ダニエル・クルックスというニュージーランド生まれオーストラリア在住のアーティストが手がけた
『走る男』というタイトルの映像。
ランニングマシーンの上で男性が走り出す様子を横から撮影した映像が始まると、
なんと徐々に男性の身体が中心から引き延ばされる…
引き延ばされた空間は歪み、鏡のように男性の身体を映し出していく。
その様子は、本来なら目に見えないはずの「動き」を私たちに見せてくれているような、万華鏡をのぞいているような、不思議な気分にさせてくれる映像でした。
この映像には映像の1フレームごとの縦軸のデータを横に引き伸ばしていく手法をとる、タイム・スライスというデジタル映像技術が使われているそう。
《スタティック No.11 (走る男)》2008年/HD(ポートレイト)、ブルーレイ、サウンド、カラー/作家蔵 協力:アナ・シュワルツ・ギャラリー、シドニー :公式HP
【2階】
こちらではアートユニット、スーパーフレックスの作品『マクドナルド浸水』に注目しました。
まず、マクドナルドを沈没させようというアイディアに脱帽!
あのマクドナルドがよく許可したねーなどと話しながら、タイトルを見ただけで興味をひかれて見てみることに。
この作品はタイトル通り、マクドナルドの店舗に徐々に水が流れ込み、完全に浸水するまでを撮影した21分間の映像。
無人のファーストフード店に水がずるずると流れ込んでくる様子は、怖いような面白いような。
浸水はあっというまで、テーブル上に残されたハンバーガーも、店内に立っていたドナルドのマネキンもどんどん流されていきます。ああ無情。
最終的に浸水によって電気も消え、真っ暗になって水で満たされた店内に、粉々になったポテトや椅子がぐるぐる回っている様子には、人間も自然には勝てないんだ…というようななんともいえない感情を抱きました。
スーパーフレックス《マクドナルド浸水》 2009年/RED、16×9、サウンド、カラー 協力:ニルズ・スターク、コペンハーゲン :公式HP
【地下】
私にとって、デイドリームのイメージに一番しっくりきたのは、中国広州出身の女性アーティストツァオ・フェイ(曹斐)の作品。
オンライン仮想空間「セカンドライフ」に構築された、2009年から2年の期間限定の城塞都市RMB Cityをもとに作られた『RMB シティオペラ/人民城寨歌劇』
現実の中国の都市に共通する要素を取り入れられたCity内部で出会った男女。
City内での様子はアバター、チャットと共にスクリーンに映し出されるが、現実にベッドに寝転びながら、机に向いながらPCを開いている二人の様子も同時に映し出されます。
アバターは様々な衣装に一瞬で着替え、どんな場所にも行ける夢のような自分の分身。
そんなアバターと現実の男女が重なるようにダンスする場面では、より虚構と現実の差が際立って見えると同時に、アバターに「踊らされている」ように見える現実の男女におかしさを感じました。
時間の都合で最後まで見ることはできなかったのが残念です…
ツァオ・フェイ《RMB シティオペラ/人民城寨歌劇》2010年/ヴィデオ、サウンド、カラー/協力:ヴァイタミン・クリエイティヴ・スペース
来年の映像祭にも期待
この他にも興味深い展示がたくさんありました。
本当に多くの映像が展示されていたので、一つ一つじっくり見ようとするとかなりの時間を要する美術展でした。入場無料のため、時間があれば何度か通っても良かったと後悔…。
今年は残念ながらすでに終了してしまいましたが、
おそらくこの映像祭は来年も続くと思われるので、興味がある方はぜひ恵比寿に足を運んでみては。