パブリックスペースで、ゆったりなひととき。
いつも目にはしているけれど
突然ですが、みなさんが最後に、公共のベンチに座ったのはいつでしょうか?
公共のベンチなんて座り心地も良くないし、風や人の目にさらされるし、一人で座ってたら変な人に思われそう・・・と、思っていませんか?
今、私が住んでいる街には、ベンチがたくさんあります。街の人みんな座れるんじゃないか、と思うほどです。
そんなベンチに、人々はよく座っています。カップルだったり、友達同士だったり、一人だったり。
本を読んだり、おしゃべりしたり、鳥にえさをやったり、考え事をしていたり。
始めは私も、ベンチに座るより、カフェやレストランに入ったほうが落ち着けるのでは、と思っていました。
ところがしかし、実際に座ってみると・・・これがなかなか面白いのです。
天気が良い日の昼下がり、タンブラーに入れたお茶だけ持って、広場のベンチに座ってみました。
あぁ良い天気。こういう日って布団干すと良い気持ちだよなぁ。隣のベンチに座ってるお爺さん、何考えてるんだろう。
そういえばあの人、最近連絡してないけど何してるんだろう。あ、今通りがかった人の服、素敵だったな。
今日は何食べようかなぁ。空がきれいだな。来週、何しようかな、今通った人、複雑な顔してたけど何考えてたんだろう。
・・・
うわぁ、ハトが寄ってきた。あなたにあげるものは何も無いのよ、ごめんね。
そうして時間は過ぎていって・・・
飽きたら帰ろうと思っていましたが、結局1時間半、ベンチに座っていました。
本も読んでいないし、インターネットも無かったので、知識が増えたり、人と交流したりはしていませんでしたが、
広々したベンチを独占し、空や街や人をただぼんやりと眺めているだけで、心はすっきりしましたし、屋内で過ごす時とはまた違った考えが浮かんでくることは、きっと外で、近くで人や植物や犬や鳥を見ていたからのように思います。
歩き方の綺麗な人や、ずいぶん美味しそうにものを食べる人、動かない向こうの人は一体何を考えているのか、などなど、
目につき思いつく様々なことに、あれやこれやと思いを巡らせるという一見、無駄に見える時間は、一見、役に立たないけれども後で思い出すとクスッと笑えるような考えや思い出を与えてくれます。これは、アンテナを張った人の特権のように思えます。
おわりに
ベンチは大抵、人が通る道に面していたり、人が集まる公園に佇んでいます。人目が気になる、という人にとっては、そこに座ることはなかなか勇気のいる行動ですが、いざ座ってみると、案外、周りの人はこちらに注目していないことが分かります。何より、こちらが行き交う人々を時々、気に留めては思いを巡らせることができるのです。これはまさしく、動物園の動物たちのようです。人の動きに疲れたら、上を向けば空。見ている空は、ゆっくりと変わっていきます。のんびり。
次のお休み、空き時間、何をしようかな、と迷ったら、ベンチに座ってみる、という選択肢もぜひ、考えてみてはいかがでしょうか。